通信教育のこの1冊

三好京三『キャンパスの雨』文藝春秋, 1979年.

2013年7月16日 00時00分
通信教育のこの1冊

 『子育てごっこ』で直木賞を受賞した三好京三が、自身の体験をもとに書いた中年大学生の通信教育奮戦記である。三好が慶應義塾大学文学部国文学科(通信教育課程)に入学したのは昭和40年4月、卒業は46年3月なので、卒業までに6年かかっている。一方、小説の主人公の信吉は4年で卒業している。その4年、4回にわたるスクーリングでの出来事を、汗と涙、それに多少のロマンスを交えて、遅れてやってきた輝ける青春として生き生きと描いている。