園山大祐・辻野けんま 編著 『コロナ禍に世界の学校はどう向き合ったのか ―子ども・保護者・学校・教育行政に迫る』(2022年, 東洋館出版社)
2024年9月27日 17時07分2020年3月11日、世界保健機関(WHO)は「パンデミック宣言」を発表した。この宣言の前にドイツとフランスにいた編者の2人がコロナ禍での各国の教育事情を多数の研究者仲間とともにまとめ、緊急出版したものが本書である。
2020年3月11日、世界保健機関(WHO)は「パンデミック宣言」を発表した。この宣言の前にドイツとフランスにいた編者の2人がコロナ禍での各国の教育事情を多数の研究者仲間とともにまとめ、緊急出版したものが本書である。
通信教育は、いかにして、「自律的な学習を促しながら、生徒・学生を自立させるか」ということが重要であり、高校・大学問わず、この考え方を否定する人は少ないと思う。そこで今回は、高等学校教育をテーマとし、2000年に刊行された『自律的学習の探求 高等学校教育の出発と回帰』(以下、本書)について評したい。
人文・社会科学系○学会〇周年記念の記録は何種類か目にしたことがある。ただし、ほとんどは当該学会誌所収の特集記事か、リーフレットの類だったように記憶する。それらと比べて、この一冊は全273頁に及ぶ本格的な単行本で、学会の力の入れ方が伝わってくる。
近年、課題発見解決能力など「学ぶ力」が重要視されている。学校卒業後は、一般に人は独学で学ばざるを得ない環境に遭遇する。学校教育のように第三者が学ぶものを提供してはくれない一方で、独学者は学びに対して責任はなく、拘束もされない。しかし、現実は、独学で対応せざるを得ない状況に置かれる。多くの人が経験しているように、独学で継続して学び続けることは容易ではない。通信教育課程での学びも、狭義で捉えると独学環境下での学びであろう。
令和3(2021) 年に「高等学校通信教育規定」(以下、通信教育規定)および学校教育法施行規則(以下、施行規則)が一部改正された。本書は、文部科学省初等中等教育局参事官(高等学校担当)付高校教育改革係長(当時)として本改正の立案を担った著者が、令和3年改正項目を中心に、改正の趣旨や内容を解説するものである。
本書は、1957年(昭和32年)に日本通信教育学会が編集者として刊行された。出版意図は、まえがきに、戦後に制度化された通信教育も十周年を迎え、日本通信教育創業時代を伝える資料となると共に、将来への飛躍台の役割を果たすことを願う旨が記されている。企画・執筆・編集は1957年4月の日本通信教育学会常務理事会で企画決定、原稿締め切り7月末という非常に短期間でまとめられた。企画執筆編集には20名が名を連ね、高校・大学社会通信教育関係者、文部省関係者など関係機関から選出されていることがわかる。
本書の刊行は1990(平成2)年10月である。日本で初となる生涯学習を支援する生涯教育に関する法律「生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律」が成立し同年7月1日に施行された直後である。当時、カルチャーセンター、大学、社会教育施設の各講座などで成人の生涯学習への熱は高まっていた。各教育機関では受け入れ、一人ひとりの学習需要に応える支援体制作りが課題となる。
本学会の会則における目的は、「本会は、開かれた教育を目指して通信教育を研究する会員相互の交流を促進し、学術研究並びに調査活動を通じて、通信教育の普及発展に資することを目的とする。」とある。この普及発展には、通信教育について著された書籍を分析することは有益である。今回は、刊行から12年の時を経た「ラーニング・アロン 通信教育のメディア学」(以下、本書)について評したい。
本書は、全国定時制通信制高等学校長会が文部科学省の委託を受け、2018年度に実施した調査研究事業の報告書である。本報告書の構成は、第Ⅰ部 調査研究に当たって、第Ⅱ部 調査研究への取組について、第Ⅲ部 実践報告、第Ⅳ部 調査研究のまとめ、第Ⅴ部 参考資料となっている。このうち実践報告は、不登校や中退経験生徒への対応、特別支援ニーズへの対応、外国籍や日本語指導を必要とする生徒への対応、経済的困難を抱える生徒への対応、非行・犯罪歴を有する生徒への対応という5つのテーマに分かれている。複数の高校の事例が、その特徴とともに各5~10ページ程度にまとめて掲載されており、今まさに対応に迫られている学校でも参考にできる内容となっている。また、参考資料には、全国の定時制・通信制高校における生徒のニーズ対応に関する記述式アンケートの結果が列挙されており、全国的な現状を知るための貴重な情報源となっている。本報告書の特徴は、この情報量の多さにあるといえるだろう。
約 20 年前,日本で e ラーニングという言葉を聞くようになり始めたころ,「大学教育における IT 活用」が盛んに言われだしていた。当時,私はちょうど修士課程に入学するころであり,修士論文の研究テーマとして,大学での e ラーニングや IT 活用をやりたいと漠然と考えていた。
筆者は教育史を専門としている。高等学校通信制の研究を始めて日の浅い研究者ではあるが、その研究を進める中で出会った全国高等学校通信制教育研究会の年史について、最新刊である七十周年記念誌を中心に紹介したい。
「俳句の本」、選書の間違いでは?と思う会員もいよう。たしかに俳句の入門書といえる。しかし私は、通信添削をする者はもちろん、およそ文章を綴る者が参照すべき本だと考え、ここに紹介する。
本書は、シャーロック・ホームズに憧れて探偵になった主人公ファイロ・ガッブの、ちょっとまぬけな迷活躍を描いた短編集である。
本書は、公立通信制高校で国語科の教員として勤務した著者が2001年から2002年の出来事を切り取って、エスノグラフィー風にまとめたものである。入学式から始まり、各学期を追いながら日々の通信制高校の様子が活写されている。今まで中学や全日制高校で勤務した経験はあるが、通信制高校がはじめての著者の通信制高校での「てんやわんや」が描かれている。かなりカルチャーショックを受けたのだろうと、文面からは想像される。
本書は長年、高校通信教育に携わった朝日稔氏の自伝である。朝日氏は戦後高校通信教育が始まった昭和23年から自身の定年までを通信制高校にて勤められ、それ以後も多様な形で高校通信教育に携わった、高校通信教育とともに生きた「通信制の神さま」とも呼ばれる方である。