会員の声

通信制とは何か―その目的と定義―

2013年9月30日 00時00分
会員の声

 通信制高校は、さまざまな事情で通学できない生徒に対して、通信手段を利用することによって、通学しなくても通学制におけると同等の量と質の教育の機会を保障する制度です。「通学できない事情」が何であっても事情を問わずに教育の機会を保障することが、「通信による教育を行う課程」(「学校教育法」第4条)と定義されている通信制の目的です。

 むろん、通信手段を利用した教育それじたいに、生徒の「通学できない事情」そのものを解消する機能があるわけではありませんから、「通学できない生徒を通学させるようにすること」が、通信制の目的になることはありえません。現在の通信制には、勤労青少年だけでなく「不登校」の生徒も数多く入学していますが、そもそも、通信手段を利用して教育をおこなえば生徒の「不登校状態」が解消できる、というわけではないのです。

 通信制の教育の核心は、あくまで郵便など通信手段を利用して実施する添削指導(通信による教育)です。通信制においては、通学制の「授業」に相当するのは添削指導であり、生徒を出校させて実施する面接指導(通学による教育)は、そのような通信手段による添削指導(通信による教育)では実施できない部分を補完するもの、という位置づけです。

 このような通信制の本来の在り方から離れ、もし面接指導を「授業」と位置づけて実施するようなことがあれば、もはや通信制と呼ぶことはできません。たとえ全日制のように通常の時間かつ時期(フルタイム)に「授業」をおこなうのでなくとも、特別の時間または時期(パートタイム)に「授業」をおこなうのであれば、それは定時制の定義(「学校教育法」第4条)に該当することになるからです。

(愛知県立旭陵高等学校:石川 伸明)

「日本通信教育学会報」(通巻40号)より