会員の声

通信制高校の女子生徒の視点から高校教育を考える

2023年3月17日 16時32分
会員の声

 会員のみなさま、はじめまして。大学院生の大久保遥と申します。通信教育の動向把握や、会員の方々との学術的な交流の場を求め、入会いたしました。わたしは、主に通信制高校に興味を抱いています。現在は、通信制高校を経由する女性の移行過程について、質的調査を行っています。

 これまで、学生の頃から通信制サポート校でアルバイトをしており、その後、子どもの人権にかんする相談機関にて、相談・調査業務をしていました。そのなかで、これほどに不登校が増え、そして、通信制高校に入学する子どもが増えたのはなぜだろう、生徒にとって通信制高校で過ごす学校生活は、その後の人生にどのように結びつくのだろうと、疑問を持つようになりました。また、女性が主流の学校から離脱し、通信制高校に参入する過程、卒業後の社会への移行過程、それぞれのプロセスには、ジェンダーの要因が深くかかわっているものだと感じています。こうした関心から、通信制高校を卒業した女性の生活史を通じて、当事者にとっての学校経験の意味について、分析・検討しています。

 自身の研究では、とくに「子どもの声をきく」という姿勢を大事にしています。その視点からみえてくる通信教育や高校教育の課題やありかた、若者をとりまく社会構造について、深く、批判的に考えていきたいとおもっています。今後、会員のみなさまと、積極的に意見交換ができましたら大変うれしくおもいます。ぜひ、気軽にお声がけください。どうぞよろしくお願いいたします。

(京都大学大学院 人間・環境学研究科 博士後期課程 大久保 遥)

(「日本通信教育学会報」通巻59号より)