すべての高校は本来「単位制」である
2024年9月27日 16時41分『日本通信教育学会報』通巻61号8ページ「通信教育のこの一冊」欄で、矢野裕俊著『自律的学習の探求』が紹介されているのを見つけ、2014年11月1日の日本通信教育学会第62回研究協議会で、同書を引用して研究発表したことを思い出した(発表内容は、石川伸明「高校における通信制と通学制の「併修」による単位認定」『日本通信教育学会第62回研究協議会発表要旨集録』17~28ページ、日本通信教育学会、2014年を参照)。
「単位制高校」の制度が1988年に創設されるまで高校は「学年制」であったと誤解されることがあるが、それは事実と異なる。同書も指摘するように、文部省は新制高校発足時に、新制高校については「単位制」によるべきことを通達しており、1988年に制度が創設された「単位制高校」以外の高校についても、「学年制」によるべきことを義務づける法規は一貫して存在していないのである(詳細は、石川伸明「高校の単位制に関する法規」『全国教法研会報』第89号、19~35ページ、全国教育法研究会、2014年を参照)。
「学年制」で行われる「原級留置」とは、ある「学年」の履修科目のうちに単位修得できない科目が生じたときに上級学年に進級させない制度のことだが、そのとき単位修得できた科目についても再び履修しなおしさせる。このような修得済みの単位を没収する「原級留置」の仕組みは違法なのではないかと、2015年2月14日に桜美林大学四谷キャンパスで開催された通信教育制度研究会第21回研究会(日本通信教育学会協賛)での発表「通信制から見る通学制高校の不思議」のなかで指摘したことも思い出した。
(愛知県立旭陵高等学校 教諭 石川 伸明)