会員の声

通信制高校「発」の教育モデルに期待して

2024年9月27日 16時46分
会員の声

 皆様はじめまして。今年度より本学会に入会しました、小川慶将と申します。以前は文部科学省に勤め、高等学校通信教育規程の改正や、通信制高校を対象とする予算確保に携わるなど、通信教育の振興に向けて尽力して参りました。その後、学校現場における課題が多様化・複雑化する実態を知るにつれ、より直接的に、学校現場での取組をサポートしていきたいという思いが強まり、文部科学省を退職して弁護士を志すに至りました。通信教育の振興に向けて少しでもお役に立てるよう、学びを深めていきたいと考えておりますので、ご指導ご鞭撻の程よろしくお願い申し上げます。

 さて、この度こうして「会員の声」の執筆の機会を頂きましたので、僭越ではございますが、私なりの通信制高校への期待を述べたいと思います。日本は「課題先進国」とよく表現されます。少子高齢化問題、環境問題、資源枯渇問題などの様々な課題が山積し、日本の課題は将来の世界の課題とも言われます。しかし、悲観する必要はありません。そんな「課題先進国」だからこそ、日本は世界に先駆けて課題解決のモデルを提示する絶好のチャンスにあるのです。そしてこのことは、通信制高校についても同様に当てはまるのではないでしょうか。これまで以上に生徒の多様化が進む中で、ICTも活用しながら、どのような教育・支援をなしていくべきなのか。経験したことのない課題に直面し、通信制高校に携わる方々は悩みに悩まれ、苦労を重ねておられるものと存じます。私は、こうした並々ならぬ思いの末に得られた叡智の結晶は、これからの学校教育の行方を占う上で必ずや重要な財産になると確信しています。近年、通信教育の方法は、通信制高校関係者のみならず、全日制・定時制高校、さらには、小・中学校段階の教育関係者からも高い関心が寄せられています。「課題先進校」だからこそ導き出し得る教育モデル、いわば通信制高校「発」の教育モデルを提示し、令和時代の学校教育を先導していくことを願っています。

(司法修習生第77期 小川 慶将)

(「日本通信教育学会報」通巻62号より)